2005年7月30日

ドイツ人はヨーロッパでも、最も誕生日を重視する民族である。個人情報をあまり公開しない会社でも、人々は同僚の誕生日は知っていて、ケーキなどを食べてお祝いをしている。特に、30歳、40歳、50歳という区切りのいい誕生日には、盛大にお祝いする。今日も、50歳の誕生日をもうすぐ祝う友人が庭で開いたパーティーに、出席した。30人ほどの友人たちが、シュトゥットガルトやミュンスターから駆けつけ、誕生日を祝った。ニューヨーク出身のプロの手品師まで出演した、豪華な宴であった。

日本の高名な作家が、ミュンヘンについて書いたエッセーを読んだ。彼がその中で「気候が温暖なバイエルン地方」と書いているのを読んで、首をひねった。バイエルン地方はアルプスのふもとなので、冬には気温がマイナス15度まで下がることも珍しくない。冬にはボンやケルンなどライン川沿いの地域の方が、気候ははるかに温暖である。(ライン川流域で良いワインができる理由の一つはそこにある)私はここに15年間住んでいるが、バイエルンが北ドイツに比べて気候が温暖だと思ったことは一度もない。

また「ナチス党はホーフブロイハウスで旗揚げした」という文章にも首をひねった。ナチスがこのビアホールで集会を開いたのは事実である。しかし、このビアホールで旗揚げしたという事実があるのかどうか。ナチスにとってはるかに重要だったビアホールは、今のガスタイク文化センターの所にあった、ビュルガー・ブロイ・ケラーで、ミュンヘン一揆ではヒトラー一味はこのビアホールから行進を開始している。ヒトラーが爆弾で暗殺されかかったのも、このビアホールである。米軍は、ビュルガー・ブロイ・ケラーがナチスにとって重要な意味を持っていたために、戦後爆破したほどである。

細かいことだが、編集者の方はこういう事実関係について、きちんと校正してあげた方が親切というものではないだろうか。